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2017-04-30

小出さんと実録こまなん自動車~まだまだ続くご縁わらしべ長者~

「こまなん自動車」は、移動サービスの新しい取り組みです。

2017年4月26日に行われた出発式には宮脇町長も来賓として出席され、翌日の愛媛新聞朝刊1面、南海テレビ、あいテレビで取り上げられました。

 

備忘録として、また、これから導入を検討される地域のご参考になればと思い、記録を残させて頂きます。(長いです。)

 

【佐島の空き家】

出発式に使われた黒のマツダMPV特別仕様車。佐島ご出身で千葉在住の小出剛さんが寄贈されました。

 

小出さんとお会いしたのは2017年2月12日。お寺さんや島のお母さんのご紹介でした。

数年前までお母様の花子さんが住んでおられた家を若い移住者に貸して頂ける事になり、千葉にお住まいのオーナー小出さんにご挨拶に伺ったのです。

 

小出さんは自動車メーカーのマツダを勤め上げた物流のプロフェッショナルです。ご両親が佐島の生まれで、お母様が最近まで住まわれていました。小出さんご自身も小学2~5年生まで佐島で過ごされています。

家を貸して下さるお礼方々、汐見の家のことをご説明したらとても喜んで下さり、帰りは愛車のマツダMPV特別仕様車で駅まで送って下さいました。

 

【あいあい自動車】

遡って2016年11月16日、佐島への移住を決めたばかりの武田(旧姓寺島)由梨ちゃんと私は銀座のリクルートにいました。

島通いをする内に目に入る島の数々の課題、その大きな一つが移動手段の確保です。ウーバーの特区とか取れないかなぁとか、相変わらず夢みたいなことをあちこちで話していたら、「西村さん、あいあい自動車って知ってますか?」と教えてくれたのがゆりちゃんでした。三重県菰野町で2016年2月から実証実験を開始。いいかも。さっそくホームページから連絡し、会社が終わってからゆりちゃんと待ち合わせてリクルートを訪問しました。

 

あいあい自動車事業部の責任者、金澤一行さんと中嶋圭吾さんは2人とも長野県佐久市のご出身。地方の課題を我が事と感じ、ふるさとにも貢献したいという気持ちが出発点というお話しに共感しました。

「あいあい自動車」の「あいあい」は「あいあい傘」から来ているそうです。自然な助け合い。素敵なネーミングです。

 

「スモールスタートが向いているんです。乗せて貰いたい人10人程度、有償ボランティアの登録運転手3-4人、車1台、これで始められます。」

 

乗せて貰いたい人は沢山います。運転手も最初は汐見のけいこさんとみえさん、その頃には移住しているはずのゆりちゃんとあやみちゃんが登録してくれれば大丈夫かも、あとは車。車を買い換える予定の友人に聞いてみたり、島に免許を返上する予定の方がいないか聞いてみたりしましたが簡単には見つかりません。最後は仕組みが出来る確証が得られたらFBで呼びかけるかなぁと考えていました。

 

【株式会社困ったことはなんですか】

その後、スモールスタートと言っても移住者だけで始めるのは無理と言うことになり、2017年1月末に隣の弓削島の課題解決企業「株式会社困ったことはなんですか」、通称こまなんの代表、白川さんにご相談しました。

白川さんは2年近く前から軽自動車によるタクシー事業の立ち上げに奔走していましたが、法的な壁などから開業に至らないと聞いていたのです。

 

「渡りに船です。」

 

即答いただいてからは目覚ましいスピードでした。

 

「判らないところを確認して、大枠固めちゃいましょうよ。」

 

リクルートの会議室の金澤さん、中嶋さんと私、上島町の白川さんをスカイプで繋ぎ、2-3時間みっちり打ち合わせをしました。

 

「こういう使い方は?」

「法律上、これはOK、これはNGです。」

「こういうニーズは拾えますか。」

「他地域にこういう事例があり、組み合わせれば良いのでは。」

「こまなん所有の車は使えますか?」

「NGです。」

 

金澤さんは法制度に精通し、弁護士意見も取り、所轄官庁にもきっちり確認しています。

グレーゾーンの仕組みは導入しませんと当初にお伝えしていましたが、どこに出しても問題の無い建て付けになり、これは行けるとの確信に全員の顔が輝きました。

 

「仕組みはこれでバッチリですね!町に持ち帰って組織を纏めます!」

 

こまなん立ち上げ前から上島町で8年の活動実績がある白川さんがボールを持ち帰り、わずか数週間で町のキーパーソンのご協力を得て体制を纏め上げられました。

 

【小出号】

そんなタイミングで移住者の貸家のオーナー、小出さんにご挨拶に伺ったのでした。

おいとまして家に帰り、そろそろお風呂に入るかなという時間に小出さんから着信がありました。

 

「今日はありがとうございました。」

「こちらこそ!長々お邪魔致しまして。」

「あなたの話を聞いて感銘を受けました。私も残りの人生で故郷のために何かをしたい。車を寄付させて下さい。」

「!!!」

 

幕張で長年1都6県の物流の責任者でいらした小出さんの愛車はMPVの特別仕様車。

9年間で9万キロ乗られ、ホイールまで替えられる徹底した整備で乗り心地も最高です。菓子折りがMPVに。わらしべ長者と言ってもスキップし過ぎでしょう。

 

2017年3月22日、小出さんはお友達と交替で800キロを運転して佐島に来て下さいました。

汐見では小学校の同級生や幼なじみにお声掛けしてご飯会を開催。たけちゃんよう来たねと旧交を温められたと、こちらがお礼を言われて胸熱です。

【サービスイン】

島の会社と東京の会社、佐島をふるさとに持つ方が手を携えて出来た「こまなん自動車」の出発式には町長さんも来賓として来られ、町としての期待の高さを感じました。

 

その後、愛媛と東京をスカイプで繋いで2回のフォローアップ会議を開きました。ご家族がわざわざご挨拶に来られ、涙ながらにお礼を伝えて下さったという白川さんのお話に感激したり、問題点について金澤さんからアドバイスを頂いたり、立場の違いがうまく噛み合ったように思えます。

 

2018年3月末、あいあい自動車事業は残念ながら事業を終了しました。高齢ドライバーや買い物・通院難民の問題が待った無しの状況になる中で、残念では済みません。

でも、こまなん自動車は独立してサービスを継続する事が出来、今でも弓削島を中心に30名ほどの常連さんが無くてはならないサービスとして利用されています。また、「次世代型の公共交通のカタチ」の具現化へ向けて更なるステップアップも計画しているそうです。

佐島での普及が今ひとつなので、これからご利用キャンペーンをしたいと色々考えです。一人でも必要な方に届きますように。

 

「ご縁わらしべ長者」で開業出来た汐見の家ですが、また素敵なご縁を頂きました。

ご協力、応援して下さった皆さま、ありがとうございました。これからもどうぞよろしくお願い致します。

 

お問い合わせはこちら! こまなん自動車 tel: 0897-77-2222

 

西村暢子拝

 

 

 

メモ:

2016年

2月   リクルートあいあい自動車 三重県菰野中で実証実験開始

11月11日 ゆりちゃんにリクルートの「あいあい自動車」事業を教えて貰う

11月16日 ゆりちゃんとリクルート金澤さんと中嶋さんを訪問

 

2017年

1月30日 株式会社困ったことはなんですかの白川さんにあいあい自動車の運営を打診

2月初旬 東京-愛媛をスカイプで繋ぎ、白川さん金澤さん中嶋さんノブコで仕組みを検討

2月12日 空き家オーナーの小出さんにご挨拶

夕方、小出さんより愛車ご寄付のお申し出を頂く

3月22日 小出さん、幕張から寄付車を運転して佐島へ。おかえりシェアごはん開催

4月26日 出発式。宮脇町長とリクルート金澤さんが来賓に。4月27日付愛媛新聞掲載、あいTV放映。

10月  3日 東京-愛媛でフォローアップ会議

11月16日 東京-愛媛でフォローアップ会議

 

2018年

3月31日 リクルートあいあい自動車 事業終了

6月   佐島でご利用キャンペーン開始

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