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2024-07-06

島四国のご報告(長文)

2024年4月29日、佐島は4年振りの島四国でした。

弘法大師が入定した旧暦3月21日は、島にある写し八十八ヶ所の祠のあちこちでお接待があり、島四国と呼ばれています。
春の浜辺や山の辺をそぞろ歩き、祠に手を合わせてお賽銭を上げ、お当番をするお母さんからお菓子を頂き言葉を交わす、そんな尊い光景が受け継がれています。

10年前の記録では佐島では番外札所を含めて40ヶ所ほどでお接待がありましたが、コロナの4年間で一気にお世話人が少なくなり、今年の開催もさだかでないと聞いたのは昨年の秋でした。

個人的な思い入れですが、私は島四国が大好きです。
「同行二人」
四国八十八ヶ所遍路は独りで歩いていても弘法大師が共に歩き、守ってくれているという言葉です。
ある年、少ししょんぼりしながら一人で島四国のお接待を回っていました。
山桜と山つつじ、新緑が萌える里山で鶯が鳴き競い、どこまでも穏やかな福羅湾には何時ともわからない昔の恩を忘れずに尾道からお接待に来られる漁師さん達の船が浮かんでいました。
自然と人の営みと、それを見守る大きな何かを信じる心のあり方が島四国だと感じ、いつのまに心ほぐされた自分がおりました。

(満潮には海に沈む福羅湾の巡礼道)

恥ずい自分語りですが、そんな体験から、小さな島で大きな旅が出来る島四国が縮んで行くのを眺めているのが辛すぎて、また懲りずにダメ元の試みを始めました。

ご尽力下さり、何でも教えて下さった島の皆さま、
お世話人として参加して下さった移住者や汐見のゲストの皆さま、
SNSの呼びかけに応えてお菓子代を寄進して下さった皆さま、
一緒に巡礼道を歩き、道の状態や祠の場所を確認したり、マップ作りを手伝って下さった皆さま、
多くの方のお力を頂き、4ヶ所の祠と古民家ねぎねぎの写真展会場でお接待をさせて頂くことが出来ました。(写真展は別な投稿でご報告します!)

当日は朝5時スタート、次々と来られる善男善女に合計1600個のお菓子をほぼお渡し出来、喜んで頂きました。お接待は頂くのも楽しいですが、お渡しする喜びも格別なのですね。
また、よそ者が伝統行事に割り込むことにならないか心配していたので、高齢でお接待を止められたお母さんが手押し車を押して来て下さり、感謝の言葉を頂いた時は心からほっとしました。

(番外札所 地蔵堂)

視野を広げると、スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼道や熊野古道、
おなじみの島四国八十八箇所など、巡礼道は観光コンテンツとしても多くの人々を魅了しています。
人はなぜ巡礼道に魅かれるのでしょう。
AIと機械化が爆速で進化する現代は、電気が途絶えれば一瞬で消滅する、ある意味とても脆弱な世界ですが、自分の足でとぼとぼ歩き、自分と対話する確かな時間が島四国にはあります。(みんなでわいわいお菓子を集め歩くのもとっても楽しいです!)

ゆっくりゆっくり、多くの人の少しずつの力で巡礼道を整え、また佐島を一周できるようになったらと妄想します。老いも若きも、島の人も観光客もてくてく。
マップアプリで迷わず歩けて、道や祠のお掃除もちょっとお手伝い。歴史や自然を説明するガイド業も成り立つかも?
10年で出来るかなぁ。皆さま、どうぞご一緒に!

(第十八番恩山寺)

ちなみに来年の島四国は4月18日(金)です。
お世話人ご希望の方、ご連絡お待ちしております!

最後に、ご寄進とお菓子・幟の収支をご報告いたします。
とんでもなく遅くなりましたことを伏してお詫び申し上げます。

収入:合計約93,000円
・寄進者(TH様、TK様、@dot-s様、TT様、AF様、MS様、パピーペットサチ様、KN様)
・お賽銭(現金推定約1万円、paypayお賽銭500円)
支出:合計 92,882円
・お菓子・飲み物合計1600個:77,182円
・のぼり5本(奉納 佐島島四国八十八ヶ所霊場):15,700円
なんとほぼ同額でした。お大師さんのおとりはからい??

改めて、皆さまに御礼申し上げます。
いつまでも島四国を続けられますように。

汐見の家 ノブコ拝

(第六十九番観音寺)

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